出してすっきり
年末でしかも今週末が連休になっているから、というのは出稿が遅くなった言い訳なのだが、書いた原稿の掲載を検討してもらえるのがだいぶ先になってしまうことになり、生殺し状態で年を越すことになりそうだ。こうなったら出してすっきりしちゃえ、ということで、ハナキン情報の追加。
どうやらクルド自治政府情報機関はすでにアラブ系4人の男を容疑者として拘束しているらしい。内部情報では武装組織「アンサール・スンナ」の一員と見られているようだが、根拠はまだ現地に確認中。同組織は親米であるクルド勢力に対し「十字軍に従う、イスラムの敵」として敵意を示し、5月に同政府の中心地であるアルビルで60人以上を殺害した爆破事件などについて、実行を認める声明を出している。「アルカイダとつながりがある」とされており、日本の某新聞がハナキン事件を「アルカイダの犯行と見られる」と書いた憶測は一応はずれではないということになる。ただ、クルドを狙うと宣言している組織の攻撃であり、「スンニとシーアの関係悪化を狙った」という憶測については短絡的すぎましたな、といったところか。
しかし、前にも書いたが、クルド勢力側は、イラクの中央政府がこの爆破を機に「クルド勢力がハナキン、イラン国境の治安維持ができていない」と批判し、再びアラブ人の役人・軍人を送り込んでくる可能性を視野に入れているという。イラク連邦議会選挙の結果どのような政権が発足するのか分からないが、多数派のシーア派が一定の力を持つのは間違いない。ハナキンやイラン国境について、クルド勢力はシーア派アラブ勢力と争ってきている。そういう状況において具体的な政治的効果を狙った攻撃ということで、誰が得をするのかと考えると、「容疑者の素性は本当にアンサール・スンナなのか?」という疑問もあるようだ。
ちなみに、「アンサール・スンナ」の前身はクルド地域東部のイラン国境付近に拠点のあった「アンサール・イスラム」で、アフガニスタンで戦ったイスラム戦士たちが中心となって組織していたが、イラク戦争開戦直後に米軍が空爆し、クルド愛国同盟(PUK)が壊滅させた。PUKによると一時は5000人を越えるメンバーがいたのではないかというが、それほどの数の遺体は見つからなかったという。つまり、イラクのどこかに消え去ったわけで、実際、「アンサール・スンナ」の活動範囲はイラク西部にまで広がっている。たたけばたたくほど相手が拡散して把握しにくくなっていく、という「テロ戦争」の典型か。
「アンサール・イスラム」の根拠地は、化学兵器の被害地ハラブジャの近くの山岳地帯。Islamist areaというのがそれである。拠点の痕跡が残っているが、PUKが道路を舗装したり建物を破壊したりしてキレイにしてしまったので、ほとんど面影はない。みんな残して観光地にでもすればよかったのになあ。
2003年1月の段階のこの地図で、ハナキンがクルド地域に入っていないことが分かる。もちろんキルクークも。いずれも、サダム政権崩壊直後にクルド勢力が制圧した、とは前に説明したとおり。
ということで、HP表紙写真を「アンサール・イスラム」の拠点跡に変更。


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Comments
雲の陰が標高の高さをうつしてますね。
ガレキに銃痕とか残ってそう~
双子ちゃん可愛かったのになー。
(密かに和んでいた私)
イラク国内の治安維持っていうなら
他国軍が支配をといて出てけばいいのに~
ちょっと安直かな?
Posted by: えらこきう | Wednesday, December 21, 2005 at 07:58 PM
安田 純平さま&皆さま,
Buon Natale!!
安田さん、この一年ブログお疲れさまでした。 また、コメントをされた皆さま、いろいろなご意見を拝見し、とても勉強になりました。
先日、『NEWS 23』で年末恒例の『広告批評・CM大賞』をやっていました。
トップ10に選ばれた作品の中に、カップヌードルの「NO BORDER――FLOWER篇/少年篇」が入っていました。
このシリーズは、どれも個人的に好きですが、中でもこの「少年篇」を応援していたので、「おお、さすがは広告批評!」だと思いました。
青い海に向かって立つ少年の手には、その年齢には不似合いな銃が(誰が持っていても違和感はありますけど、大人が持つ姿には慣れてしまっている自分が居ます)。でも、側に近寄ってきた少女を振り返った時の彼の笑顔に、見ている者は救われるのです。
皆さんもご存知の通り(番組で『広告批評』のA.Yさんも言われていました)、このCMは視聴者からのクレームによって、放送中止を余儀なくされた、“いわくつき”のものです。
曰く、「子どもらしくない」から?「自分達と同じこの地球上で銃を持たされ戦っている子どもがいることなんて知りたくない」から?
でも、司会のC.Tさんによれば、今この世界中で『少年兵』は30万人以上いるそうです。
2006年も、現実から目を背けずにいたいと思います。
また来年も、いろいろと勉強させてくださいね。
良いお年をどーぞ。
Posted by: VOCE | Sunday, December 25, 2005 at 02:41 AM
えらこきう さん
銃痕どころか建物などは巡航ミサイルでどでかい穴が開いてましたよ
今はたまに近所の人が利用するそうで、焚き火の跡などもありました。まったくもったいない。
どうもあの国では、外国軍がいてもいなくても、それぞれの状況で争いが起こりそうな気がします。とりあえず我慢、という発想なさそうなので。
もちろん、争いの原因となるなら外国軍はいないほうがいいでしょうね。
Posted by: 安田 | Thursday, December 29, 2005 at 10:54 PM
VOCEさん
この一年、ご愛顧いただきありがとうございました。
戦場の死体の写真などを公開すると「死んだ人の人権を侵害した」などとして批判されることもよくありますよ。
来年もよろしくお願いします。
Posted by: 安田 | Thursday, December 29, 2005 at 11:01 PM